カロナール(アセトアミノフェン)の錠剤、シロップ、細粒の特徴と使い分けについて、臨床で必要な実践的知識を問うクイズです。小児への投与量計算や服薬指導のポイントも含みます。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ3歳児(体重15kg)が発熱(38.5℃)で来局しました。母親から「以前は錠剤を砕いて飲ませていたが、苦くて嫌がるようになった」との相談を受けました。処方箋には「カロナール細粒20% 0.75g/回 頓服 発熱時」と記載されています。
この処方と服薬指導について、最も適切な対応はどれですか?
カロナール製剤の適応症は以下の通りです:
なお、空腹時の投与は避けることが望ましいとされています。
アセトアミノフェンの作用機序は完全には解明されていませんが、現在考えられている主な機序は以下の通りです:
アセトアミノフェンは血液脳関門を容易に通過し、脳内でシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することでプロスタグランジンの産生を抑制します。この作用により、視床下部の体温調節中枢に作用して解熱効果を、また痛覚伝導路に作用して鎮痛効果を発揮します。
アセトアミノフェンは末梢でのCOX阻害作用が弱いため:
これらの特徴により、NSAIDsが使用しにくい患者(小児、高齢者、妊婦など)にも比較的安全に使用できます。
剤形 | アセトアミノフェン150mg相当量 |
---|---|
カロナール細粒20% | 0.75g |
カロナール細粒50% | 0.3g |
カロナールシロップ2% | 7.5mL |
注意:空腹時の投与は避けることが望ましい。
2023年10月、以下の項目が禁忌から慎重投与に変更されました:
これにより、NSAIDsが使用困難な患者への選択肢が広がりました。
分類 | 症状 |
---|---|
血液 | チアノーゼ、血小板減少、血小板機能低下(出血時間の延長)等 |
消化器 | 悪心・嘔吐、食欲不振等 |
その他 | 過敏症 |
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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ワルファリンカリウム | ワルファリンの作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること | 本剤が血漿蛋白結合部位において競合することで、ワルファリンの遊離型が増加し、ワルファリンの作用が増強すると考えられている |
リチウム製剤 | 他の非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン、イブプロフェン等)で、リチウムとの併用によりリチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒を呈したとの報告がある | 非ステロイド性消炎鎮痛剤は腎のプロスタグランジン合成を阻害することにより、炭酸リチウムの排泄が減少し、血中濃度が上昇すると考えられている |
チアジド系利尿剤 | 他の非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)で、チアジド系利尿剤の作用を減弱することが報告されている | 非ステロイド性消炎鎮痛剤は腎のプロスタグランジン合成を阻害して水、塩類貯留が生じ、チアジド系利尿剤の排泄作用に拮抗すると考えられている |
アルコール | アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ肝不全を起こしたとの報告がある | アルコール常飲によるCYP2E1の誘導により、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進される |
クマリン系抗凝血剤 | クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること | 本剤が血漿蛋白結合部位において競合することで、抗凝血剤を遊離させ、その抗凝血作用を増強させる |
カルバマゼピン | これらの薬剤の長期連用者は、肝薬物代謝酵素が誘導され、肝障害を生じやすくなるとの報告がある | これらの薬剤の代謝酵素誘導作用により、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進される |
抗生物質 | 過度の体温下降を起こす頻度が高くなることから、併用する場合には観察を十分に行い、慎重に投与すること | 機序不明 |
※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/6/23