チエノジアゼピン系抗不安薬エチゾラムの高齢者における転倒リスク、依存性の問題、適切な減薬方法について、実臨床で必要な中級レベルの知識を問うクイズです。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ75歳女性。不眠症でエチゾラム錠0.5mgを1日3回(朝・昼・夕食後)、3年間継続服用中。最近、娘から「母が日中もぼーっとしていて、昨日も家の中で転びそうになった」との相談を受けた。患者本人は「この薬がないと不安で眠れない」と訴えている。
薬歴を確認すると、6ヶ月前から処方日数が14日分から30日分に変更されており、残薬もない状況である。血圧は安定しており、他の併用薬は降圧薬のみ。
この患者への薬剤師としての対応について、最も適切な提案はどれですか?
不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害
不安・緊張・睡眠障害
身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
睡眠障害
統合失調症に伴う不安・緊張・抑うつの場合:
エチゾラムは、中枢神経系のGABAA受容体に作用し、抑制性神経伝達を増強することで薬理作用を発揮します。
作用 | 強度 | 臨床的意義 |
---|---|---|
抗不安作用 | 強力 | ジアゼパムの約6倍 |
催眠作用 | 中等度 | 入眠効果あり |
筋弛緩作用 | 強力 | 転倒リスクに注意 |
抗けいれん作用 | 中等度 | 離脱時のけいれんに注意 |
エチゾラムはチエノジアゼピン系に分類され、ベンゾジアゼピン系とは化学構造が異なりますが:
通常、成人にはエチゾラムとして1日3mgを3回に分けて経口投与する。
通常、成人にはエチゾラムとして1日1.5mgを3回に分けて経口投与する。
通常、成人にはエチゾラムとして1日1〜3mgを就寝前に1回経口投与する。
高齢者への投与
投与期間
剤形 | 規格 | 使用例 |
---|---|---|
錠剤 | 0.25mg | 高齢者の開始用量、減量時 |
錠剤 | 0.5mg | 標準的な1回用量 |
錠剤 | 1mg | 睡眠障害での使用 |
細粒 | 1% | 用量調整が必要な場合 |
連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
以下の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること:
リスク | 理由 | 対策 |
---|---|---|
運動失調 | 筋弛緩作用、平衡感覚低下 | 低用量から開始、環境整備 |
認知機能低下 | 中枢神経抑制作用 | 最小有効量の使用 |
せん妄 | 薬物感受性の亢進 | 夜間の観察強化 |
転倒・骨折 | 筋弛緩、ふらつき | 転倒予防対策 |
症状の種類 | 具体的な症状 | 発現時期 |
---|---|---|
身体症状 | 痙攣発作、振戦、筋痛、発汗 | 中止後1-3日 |
精神症状 | 不安、焦燥、不眠、知覚異常 | 中止後1-7日 |
重篤な症状 | せん妄、幻覚、妄想 | 中止後3-7日 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
中枢神経抑制剤 | 中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、慎重に投与すること | ともに中枢神経抑制作用を有する |
アルコール | 中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、慎重に投与すること | ともに中枢神経抑制作用を有する |
MAO阻害剤 | 中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、慎重に投与すること | ともに中枢神経抑制作用を有する |
フルボキサミン | 本剤の血中濃度を上昇させることがあるので、本剤の用量を減量するなど、注意して投与すること | フルボキサミンが本剤の肝での代謝を阻害し、血中濃度を上昇させるおそれがある |
高齢者では以下の薬剤との併用に特に注意が必要です:
エチゾラムは主に肝臓で代謝されます:
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※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/1/25