SSRI系抗うつ薬パロキセチンの離脱症状の特徴、減薬方法、服薬指導のポイントについて、薬剤師が知っておくべき基本的な内容を解説します。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ45歳男性。うつ病の治療でパキシル錠(パロキセチン)20mg 朝夜各1錠を6ヶ月間服用。症状が改善したため、医師から減薬を開始すると説明された。「立ちくらみやめまい、ピリピリする感じがあると聞いたことがあるが、大丈夫でしょうか?」と相談された。
パロキセチンの離脱症状に関する説明として、最も適切な内容はどれですか?
適応症 | 開始用量 | 維持用量 | 最大用量 |
---|---|---|---|
うつ病・うつ状態 | 10~20mg/日 | 20~40mg/日 | 40mg/日 |
パニック障害 | 10mg/日 | 30mg/日 | 40mg/日 |
強迫性障害 | 20mg/日 | 40mg/日 | 50mg/日 |
社会不安障害 | 10mg/日 | 20mg/日 | 40mg/日 |
外傷後ストレス障害 | 10~20mg/日 | 20mg/日 | 40mg/日 |
パロキセチンは、セロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)を選択的に阻害するSSRIです。
ターゲット | 親和性 | 機能への影響 | 臨床効果 |
---|---|---|---|
セロトニン再取り込みトランスポーター | 非常に高い | シナプス間セロトニン濃度上昇 | 抗うつ・抗不安作用 |
ノルアドレナリン再取り込み | 低い | ミニマルな影響 | 限定的 |
ドパミン再取り込み | 非常に低い | ほとんど影響なし | 限定的 |
受容体 | 親和性 | 副作用への関連 |
---|---|---|
ムスカリン受容体 | 中程度 | 口内乾燥・便秘・倫眠 |
ヒスタミンH1受容体 | 低い | 眠気・体重増加 |
αアドレナリン受容体 | 低い | 起立性低血圧 |
パロキセチンは、SERTに対する結合親和性が非常に高く、他のSSRIと比較して以下の特徴があります:
パロキセチンは主にCYP2D6酵素で代謝されますが、同時にこの酵素を強力に阻害するため、以下の特異な薬物動態を示します:
投与タイミング:1日1回、夕食後の経口投与が基本
適応症 | 開始用量 | 維持用量 | 增量方法 | 最大用量 |
---|---|---|---|---|
うつ病・うつ状態 | 10~20mg/日 | 20~40mg/日 | 1週ごとに10mgずつ增量 | 40mg/日 |
パニック障害 | 10mg/日 | 30mg/日 | 1週ごとに10mgずつ增量 | 40mg/日 |
強迫性障害 | 20mg/日 | 40mg/日 | 1週ごとに10mgずつ增量 | 50mg/日 |
社会不安障害 | 10mg/日 | 20mg/日 | 1週ごとに10mgずつ增量 | 40mg/日 |
外傷後ストレス障害 | 10~20mg/日 | 20mg/日 | 1週ごとに10mgずつ增量 | 40mg/日 |
1. 高齢者(65歳以上)
2. 腎機能障害患者
3. 肝機能障害患者
項目 | 普通錠 | CR錠(徐放錠) |
---|---|---|
適応症 | うつ病・パニック・強迫・社会不安・PTSD | うつ病のみ |
開始用量 | 10~20mg/日 | 12.5mg/日 |
維持用量 | 20~40mg/日 | 25~37.5mg/日 |
最大用量 | 40mg/日 | 50mg/日 |
副作用 | 初期に悪心など | 初期副作用が軽減 |
時期 | リスク | 対応 | エビデンスレベル |
---|---|---|---|
妊娠第1三半期 | 先天異常(特に心血管系)1%→2% | 使用避ける | 高 |
妊娠後期 | 入院リスク上昇、新生児離脱症状 | 漸減中止を検討 | 中 |
授乳期 | 乳児への曝露(投与量の約1%) | 授乳中止または代替薬検討 | 中 |
病態・状態 | 注意点 | 推奨対応 |
---|---|---|
てんかん・躁症 | けいれん閾値低下のリスク | 用量を最小限に、定期的なモニタリング |
緑内障 | 眼圧上昇 | 眼科的モニタリング、中止を検討 |
排尿障害 | 抗コリン作用による悪化 | 排尿状態の注意深い観察 |
出血性疑患 | 具血機能への影響 | 併用薬の見直し、定期的な検査 |
肝機能障害 | 代謝遅延、相互作用リスク増加 | 減量投与、間隔延長を検討 |
腎機能障害 | 薬物の蓄積リスク | 減量または投与間隔の延長 |
モニタリング項目 | 頻度 | 特別な注意が必要な場合 |
---|---|---|
精神症状の評価 | 月1~2回(初期) | 自殺念慮、躁転化のチェック |
体重・バイタルサイン | 月1回 | 体重変化、血圧変動 |
肝機能検査 | 3~6ヶ月ごと | 肝機能障害がある場合 |
電解質検査 | 3~6ヶ月ごと | 高齢者、SIADHリスクあり |
心電図 | 必要時 | 心疾患、QT延長リスクあり |
系統 | 高頻度(5%以上) | 中程度頻度(1~5%) | 低頻度(1%未満) |
---|---|---|---|
消化器 | 悪心(23.5%)、口内乾燥(18.1%) | 便秘、下痢、食欲不振 | 味覚異常、嘴味 |
神経系 | 眠気(22.2%)、めまい(13.2%) | 振戦、頭痛、不眠 | けいれん、意識障害 |
精神神経 | 不安(7.8%) | 不眠、焦燥、異常な夢 | 武動性、脱人格化 |
泌尿生殖器 | 性機能障害(10.8%) | 射精障害、排尿障害 | 尿闉留、月経異常 |
循環器 | - | 起立性低血圧、動悸 | 不整脈、高血圧 |
その他 | 発汗増加(11.3%) | 体重増加、疲労感 | 歯齢炎、脱毛 |
1. 性機能障害(男女共通)
2. 体重増加
3. 離脱症状(中止時)
副作用 | 症状 | 対応 |
---|---|---|
セロトニン症候群 | 高熱、意識障害、筋強直、不随意運動 | 中止、対症療法 |
悪性症候群 | 高熱、筋強直、意識障害、自律神経不安定 | 中止、集中治療 |
横紋筋融解症 | 筋痛、CK上昇、ミオグロビン尿 | 中止、対症療法 |
SIADH | 低ナトリウム血症、意識障害、けいれん | 水制限、電解質補正 |
性機能異常 | 陰茎、クリトリスの持続勃起 | 緊急中止、泌尿器科紹介 |
1. 悪心・嘔吐対策
2. 眠気対策
薬剤名 | 相互作用の内容 | 機序 | 対応 |
---|---|---|---|
MAOI | セロトニン症候群 | セロトニンの異常蓄積 | 絶対禁忌 |
ピモジド | QT延長 | 心電図異常の相加作用 | 併用禁忌 |
ワルファリン | 出血リスク増加 | 抗凝固作用の増強 | PT-INR的密モニタリング |
タモキシフェン | 抗腫瘍効果の減弱 | CYP2D6阻害で活性代謝物産生阻害 | 他のSSRIへの変更検討 |
パロキセチンは強力なCYP2D6阻害薬であり、多くの薬物と相互作用を起こします。
CYP2D6基質薬物 | 影響 | 臨床的対応 |
---|---|---|
β遮断薬 | 血中濃度上昇 | 用量減量、代替薬検討 |
抗不整脈薬 | 抗不整脈作用増強 | 心電図モニタリング |
抗精神病薬 | 錐体外路症状 | 用量調整、代替薬検討 |
三環系抗うつ薬 | 抗コリン作用増強 | 併用避ける、代替薬検討 |
薬物群 | 代表的な薬物 | リスク | 対応 |
---|---|---|---|
他の抗うつ薬 | SNRI、三環系、ブプロピオン | セロトニン症候群 | 慢重な切り替え |
トリプタン系 | スマトリプタン、リザトリプタン | セロトニン症候群 | 最小限の併用、状態監視 |
セントジョンズワート | セントジョンズワートエキス | セロトニン症候群 | 併用避ける |
麻酔薬 | ペチジン、フェンタニル | セロトニン症候群 | 麻酔科との連携 |
片頭痛予防薬として使用される医薬品の中で、適応外処方となるものを見極める上級問題です。保険適応の有無と臨床的有用性の違いを理解し、医師の処方意図を適切に把握できる薬剤師を目指しましょう。
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※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/1/25