プロトンポンプ阻害薬(PPI)の中でも特徴的な代謝経路を持つラベプラゾールについて、基本的な薬物動態から服薬指導のポイントまで、臨床で必要な実践的知識を問うクイズです。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ65歳男性が逆流性食道炎の診断で、パリエット錠10mgが処方されました。患者は高血圧でアムロジピン、高尿酸血症でアロプリノールを服用中です。服薬指導時に「この薬は噛んで飲んでも良いですか?朝食前に飲む薬が多くて、まとめて飲みたいのですが」と質問されました。
この患者への服薬指導として、最も適切な対応はどれですか?
パリエット錠の適応症は規格により異なります:
なお、逆流性食道炎の維持療法では、再発・再燃を繰り返す患者に対し行うこととし、本来維持療法の必要のない患者に行うことのないよう留意することとされています。
ラベプラゾールナトリウムは、胃粘膜壁細胞の酸分泌部位であるプロトンポンプに作用し、胃酸分泌を抑制します。
ラベプラゾールはプロドラッグとして経口投与され、以下のプロセスで作用を発揮します:
他のPPIと比較したラベプラゾールの代謝特性:
代謝経路 | 割合 | 代謝物 | 臨床的意義 |
---|---|---|---|
非酵素的還元 | 主要経路 | チオエーテル体 | 遺伝子多型の影響なし |
CYP2C19 | 一部 | 脱メチル体 | 影響は限定的 |
CYP3A4 | 一部 | スルホン体 | 相互作用リスク低い |
ラベプラゾールの代謝特性により:
これらの特徴により、ラベプラゾールは個人差の少ない安定した薬効を示すPPIとして位置づけられています。
本剤は腸溶錠であり、服用にあたっては、噛んだり、砕いたりせずに、のみくだすよう注意すること。
薬剤名 | 相互作用の機序 | 臨床的影響 |
---|---|---|
アタザナビル硫酸塩 | 胃内pHの上昇により、アタザナビルの溶解性が低下し、吸収が低下する | HIV感染症治療効果の減弱 |
リルピビリン塩酸塩 | 胃内pHの上昇により、リルピビリンの吸収が低下する | HIV感染症治療効果の減弱 |
これらの薬剤は胃酸による溶解が必要であり、PPIによる胃酸分泌抑制により吸収が著しく低下するため、併用は禁忌とされています。
副作用 | 発現時期 | 対応 |
---|---|---|
低マグネシウム血症 | 3ヶ月以上 | 血清マグネシウム値の測定 |
骨粗鬆症・骨折 | 1年以上 | 骨密度検査の考慮 |
腸管感染症(CDI等) | 長期投与時 | 下痢症状に注意 |
分類 | 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 |
---|---|---|---|
過敏症 | - | - | 発疹、そう痒感、蕁麻疹 |
血液 | - | - | 白血球減少、白血球増加、好酸球増多、貧血、赤血球減少 |
肝臓 | - | ALT上昇、AST上昇 | Al-P上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇 |
循環器 | - | - | 血圧上昇、動悸 |
消化器 | - | 便秘 | 下痢、腹部膨満感、嘔気、口内炎、腹痛、苦味、カンジダ症、胃もたれ、口渇、食欲不振、鼓腸、口唇炎、胸やけ |
精神神経系 | - | - | 頭痛、めまい、ふらつき、眠気、四肢脱力、知覚鈍麻、握力低下、口のもつれ、失見当識、せん妄、昏睡 |
その他 | - | - | 総コレステロール・中性脂肪・BUN上昇、蛋白尿、血中TSH増加、かすみ目、浮腫、倦怠感、発熱、脱毛症、しびれ感 |
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
アタザナビル硫酸塩 | アタザナビル硫酸塩の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある | 本剤の胃酸分泌抑制作用により、胃内pHが上昇し、アタザナビル硫酸塩の溶解性が低下し、アタザナビルの血中濃度が低下するおそれがある |
リルピビリン塩酸塩 | リルピビリン塩酸塩の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある | 本剤の胃酸分泌抑制作用により、胃内pHが上昇し、リルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下するおそれがある |
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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ジゴキシン | 相手薬剤の血中濃度が上昇することがある | 本剤の胃酸分泌抑制作用により、胃内pHが上昇し、相手薬剤の吸収を促進する |
イトラコナゾール | 相手薬剤の血中濃度が低下するおそれがある | 本剤の胃酸分泌抑制作用により、胃内pHが上昇し、相手薬剤の吸収を抑制するおそれがある |
水酸化アルミニウムゲル・ | 本剤単独投与に比べ制酸剤同時服用、制酸剤投与1時間後投与で平均血漿中濃度曲線下面積がそれぞれ8%、6%低下したとの報告がある | 機序不明 |
メトトレキサート | メトトレキサートの血中濃度が上昇することがある。高用量のメトトレキサートを投与する場合は、一時的に本剤の投与を中止することを考慮すること | 機序は不明であるが、メトトレキサートの血中濃度上昇に関する報告がある |
類薬(オメプラゾール)で報告されている以下の相互作用について、ラベプラゾールでは影響が認められないことが報告されています:
これは、ラベプラゾールが主に非酵素的経路で代謝され、CYP2C19への影響が少ないためです。
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※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/1/24