第二世代抗ヒスタミン薬の中でも眠気の副作用が少ないフェキソフェナジンについて、P-糖タンパク質を介した薬物相互作用、制酸剤による吸収阻害、実践的な服薬指導のポイントを問う中級レベルのクイズです。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ42歳女性(体重55kg)、花粉症のため、フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg 1日2回(朝夕食後)が処方されています。最近、仕事のストレスで胃の不調を感じており、薬局で胃薬の購入を希望されました。
「花粉症の薬を飲んでいますが、一緒に飲める胃薬はありますか?市販の胃薬でよく効くものがあれば教えてください」と相談されました。
この患者への服薬指導として、最も適切な対応はどれですか?
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒
特になし
「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版」および最新の処方動向では:
フェキソフェナジンは、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗薬として、アレルギー反応を抑制します。
フェキソフェナジンは末梢のヒスタミンH1受容体に対して:
特性 | 詳細 | 臨床的意義 |
---|---|---|
脂溶性 | 低い(親水性) | 血液脳関門を通過しにくい |
中枢H1受容体占拠率 | 1%未満 | 鎮静作用がほとんどない |
抗コリン作用 | ほとんどない | 口渇、便秘などの副作用が少ない |
心毒性 | なし | QT延長のリスクなし |
フェキソフェナジンはテルフェナジンの活性代謝物として開発されました:
通常、成人にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回60mgを1日2回経口投与する。
なお、症状により適宜増減する。
7歳以上12歳未満の小児
通常、フェキソフェナジン塩酸塩として1回30mgを1日2回経口投与する。
12歳以上の小児
通常、フェキソフェナジン塩酸塩として1回60mgを1日2回経口投与する。
なお、症状により適宜増減する。
2歳以上7歳未満の小児(ドライシロップのみ)
通常、フェキソフェナジン塩酸塩として1回30mg(ドライシロップとして0.6g)を1日2回、用時懸濁して経口投与する。
6ヵ月以上2歳未満の小児(ドライシロップのみ)
通常、フェキソフェナジン塩酸塩として1回15mg(ドライシロップとして0.3g)を1日2回、用時懸濁して経口投与する。
剤形 | 特徴 | 適応患者 |
---|---|---|
普通錠 | 標準的な剤形 | 一般的な成人・小児 |
OD錠 | 水なしで服用可能 | 嚥下困難患者、外出時の服用 |
ドライシロップ | 用時懸濁、甘味あり | 小児(6ヵ月以上) |
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
フェキソフェナジンは比較的安全性の高い薬剤であり、禁忌事項は過敏症の既往のみです。しかし、以下の点には注意が必要です:
特に設定されていないが、以下の患者では注意が必要:
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
制酸剤 | 本剤の作用を減弱させることがあるので、同時に服用させないなど慎重に投与すること | 水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムが本剤を一時的に吸着することにより吸収量が減少する |
エリスロマイシン | 本剤の血漿中濃度を上昇させるとの報告がある | P-糖蛋白の阻害による本剤のクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因する |
相互作用物質 | 影響 | 機序 |
---|---|---|
グレープフルーツジュース | AUC約30%低下 | OATP阻害による吸収低下 |
リファンピシン | 血中濃度低下 | P-gp誘導 |
ベラパミル | 血中濃度上昇の可能性 | P-gp阻害 |
セント・ジョーンズ・ワート | 血中濃度低下の可能性 | P-gp誘導 |
分類 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
---|---|---|---|
精神神経系 | 頭痛、眠気、疲労、倦怠感、めまい | 不眠、神経過敏 | 悪夢、睡眠障害、しびれ感 |
消化器 | 悪心、嘔吐、口渇、腹痛 | 下痢、消化不良、便秘 | 食欲不振 |
過敏症 | - | 血管浮腫、そう痒、蕁麻疹、発疹 | 潮紅 |
肝臓 | - | AST上昇、ALT上昇 | - |
腎臓・泌尿器 | - | - | 排尿困難、頻尿 |
循環器 | - | - | 動悸、血圧上昇 |
その他 | - | - | 味覚異常、浮腫、胸痛、月経異常 |
フェキソフェナジンの副作用プロファイルは、第二世代抗ヒスタミン薬の中でも特に良好です:
使用成績調査(3,881例)における副作用発現率:
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
制酸剤 | 本剤の作用を減弱させることがあるので、同時に服用させないなど慎重に投与すること | ・消化管内での物理的吸着 |
エリスロマイシン | 本剤の血漿中濃度を上昇させる(AUC約2倍)との報告がある | ・P-糖蛋白(P-gp)の阻害 |
相互作用物質 | 影響 | 機序 | 対処法 |
---|---|---|---|
グレープフルーツジュース | AUC約30%低下 | OATP1A2/2B1阻害による吸収低下 | 服用前後2時間は摂取を避ける |
リンゴジュース | AUC約30〜40%低下 | OATP阻害による吸収低下 | 服用前後2時間は摂取を避ける |
P-gp阻害薬 | 血中濃度上昇の可能性 | P-gp阻害による排出低下 | 臨床的意義は低いが注意 |
P-gp誘導薬 | 血中濃度低下の可能性 | P-gp誘導による排出増加 | 効果減弱に注意 |
食品 | 影響 | 推奨事項 |
---|---|---|
高脂肪食 | AUC、Cmax約15%低下 | 臨床的影響は小さい |
牛乳・乳製品 | 影響なし | 制限不要 |
アルコール | 相互作用なし | 中枢抑制作用がないため影響少ない |
カフェイン | 相互作用なし | 制限不要 |
DPP-4阻害薬の第一世代であるジャヌビア錠について、腎排泄型薬剤の特性を踏まえた用量調整、薬物相互作用、2024年の安全性情報を含む実践的な服薬指導のポイントを問う中級レベルのクイズです。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の先駆けであるロサルタンについて、活性代謝物への変換、CYP2C9遺伝子多型の影響、尿酸低下作用を踏まえた複雑な症例での薬物選択と投与設計を問う上級レベルのクイズです。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の中でも特徴的な代謝経路を持つラベプラゾールについて、基本的な薬物動態から服薬指導のポイントまで、臨床で必要な実践的知識を問うクイズです。
※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/1/24