HMG-CoA還元酵素阻害薬の中でも使用頻度の高いアトルバスタチンについて、CYP3A4を介した薬物相互作用、血中濃度上昇による横紋筋融解症リスク、服薬指導のポイントを問う初級レベルのクイズです。
クイズの内容に問題がある場合や、改善のご提案がございましたら、お気軽にお知らせください。
📧 内容についてお問い合わせ75歳男性(体重65kg)、脂質異常症と高血圧症で通院中。現在の処方:アムロジピン5mg 1日1回、アトルバスタチン10mg 1日1回(夕食後)
今回、歯科治療後の感染予防のため、クラリスロマイシン200mg 1日2回 7日分が処方されました。薬局で服薬指導を行う際、患者から「いつも飲んでいる薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?」と質問されました。
この患者への服薬指導として、最も適切な対応はどれですか?
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」および最新のフォーミュラリーでは:
アトルバスタチンは、コレステロール生合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を競合的に阻害することで、肝臓でのコレステロール合成を抑制します。
HMG-CoA還元酵素は、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)をメバロン酸に変換する反応を触媒します。この反応はコレステロール生合成経路の律速段階であり、アトルバスタチンはこの酵素を競合的に阻害します。
脂質項目 | 変化率 | 臨床的意義 |
---|---|---|
LDL-C | ↓30〜40% | 動脈硬化の主要危険因子を低下 |
総コレステロール | ↓20〜30% | 全体的な脂質改善 |
トリグリセライド | ↓10〜20% | 軽度〜中等度の低下 |
HDL-C | ↑5〜10% | 善玉コレステロールの増加 |
コレステロール低下作用以外の多面的効果:
アトルバスタチンは親油性スタチンであり:
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日20mgまで増量できる。
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日40mgまで増量できる。
剤形 | 特徴 | 適応患者 |
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普通錠 | 標準的な剤形 | 一般的な患者 |
OD錠 | 水なしで服用可能 | 嚥下困難患者、高齢者 |
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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グレカプレビル・ピブレンタスビル | グレカプレビル・ピブレンタスビル(400mg・120mg)との併用により、アトルバスタチンのAUCが8.28倍、Cmaxが22.0倍に上昇したとの報告がある | グレカプレビルのOATP1B1/1B3及びBCRP阻害、ピブレンタスビルのOATP1B1及びBCRP阻害に基づく作用による |
検査項目 | 頻度 | 注意点 |
---|---|---|
肝機能(AST、ALT、γ-GTP) | 開始時〜12週に1回以上、以後6ヶ月毎 | 基準値上限の3倍以上で中止考慮 |
CK(CPK) | 筋症状出現時 | 基準値上限の10倍以上で中止 |
脂質プロファイル | 4〜8週毎 | 効果判定と用量調整 |
血糖値・HbA1c | 糖尿病患者では定期的 | 血糖コントロール悪化に注意 |
分類 | 1〜5%未満 | 0.1〜1%未満 | 頻度不明 |
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皮膚 | - | そう痒感、発疹、皮疹 | 脱毛症、光線過敏、爪の障害 |
血液 | - | 白血球減少、貧血 | 血小板減少 |
肝臓 | AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇 | 肝機能異常、Al-P上昇 | - |
消化器 | - | 便秘、悪心、下痢、腹痛 | 消化不良、嘔吐、食欲不振、膵炎 |
筋・骨格系 | - | CK上昇、筋肉痛、背部痛 | 筋痙攣、筋脱力、関節痛、腱炎、腱断裂 |
精神神経系 | - | 頭痛、不眠、めまい | 健忘、抑うつ、悪夢、錯感覚、末梢神経障害 |
その他 | - | テストステロン低下、倦怠感 | 勃起不全、女性化乳房、無力症、胸痛、浮腫、体重増加 |
最新の市販後調査により、以下の点が明らかになっています:
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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フィブラート系薬剤 | 筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。異常が認められた場合には投与を中止すること | 機序:フィブラート系薬剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用 |
ニコチン酸 | 同上 | 機序:ニコチン酸とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用 |
免疫抑制剤 | 同上 | 機序:シクロスポリンとHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用、シクロスポリンによる本剤の血中濃度の上昇(本剤のOATP1B1、OATP1B3、P-gp及びBCRPに対する阻害作用による) |
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 血中濃度への影響 |
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アゾール系抗真菌薬 | 筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい | イトラコナゾール:本剤のAUC0-∞が3.3倍に上昇 |
マクロライド系抗生物質 | 同上 | エリスロマイシン:本剤のAUC0-∞が33%上昇 |
HIVプロテアーゼ阻害剤 | 同上 | ネルフィナビル:本剤のAUCが1.5倍に上昇 |
グレープフルーツジュース | 同上 | 本剤のAUC0-∞が16%上昇 |
薬剤名 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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ジゴキシン | ジゴキシンの血中濃度が上昇する可能性があるため、ジゴキシンの血中濃度のモニターを十分に行うこと | 本剤によるジゴキシンのP-gpを介した排出の抑制により、ジゴキシンの血中濃度が上昇する可能性がある |
経口避妊薬 | ノルエチステロン、エチニルエストラジオールの血中濃度が上昇する可能性がある | 機序不明 |
リファンピシン | 本剤の血中濃度が低下する可能性がある | リファンピシンのCYP3A4誘導作用により、本剤の代謝が促進される |
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※ 重要な注意事項
本クイズは教育目的で作成されています。実際の診療・調剤には必ず最新の添付文書をご確認ください。
最終確認日:2025/1/24