アナフィラキシー重症度判定とアドレナリン投与の実践的判断

🎯 適応症

• アナフィラキシーショック（第一選択薬）
• 各種ショック時の血圧上昇
• 心停止の蘇生（ACLS/ICLSプロトコール）
• 気管支喘息の重篤発作（β2刺激作用）
• 局所麻酔薬の作用延長（血管収縮作用）

📋 適応外使用

• 重篤な薬物アレルギー反応
• 食物アレルギーによる急性反応
• 昆虫刺傷によるアナフィラキシー

🔬 薬理作用機序

アドレナリンは非選択的α・β受容体アゴニストとして多面的な薬理作用を発揮：

⚡ アナフィラキシーに対する作用

1. 即効性血管収縮：末梢血管透過性↓、浮腫軽減
2. 気道確保：気管支拡張、上気道浮腫軽減
3. 循環改善：心拍出量↑、血圧維持
4. メディエーター抑制：肥満細胞安定化

💊 用法・用量（詳細版）

🚨 アナフィラキシー時

⚡ 心停止時（ACLS/ICLS）

• 成人：1mg静脈内投与、3-5分間隔で反復
• 小児：0.01mg/kg（最大1mg）静脈内投与

🔄 追加投与の判断

• 初回投与後5-15分で効果判定
• 改善不十分なら同用量で追加投与
• 最大3回まで投与可能（病院での管理下）

📍 投与部位・手技

1. 推奨部位：大腿外側部（外側広筋）
2. 角度：皮膚に対して垂直（90度）
3. 深度：筋肉内に確実に到達させる
4. 保持時間：10秒間しっかり保持

🚫 絶対禁忌

• 本剤成分に対する過敏症の既往

⚠️ 相対禁忌（慎重投与）

• 重篤な器質的心疾患（冠動脈疾患、重篤な心不全）
• 甲状腺機能亢進症（バセドウ病等）
• 褐色細胞腫（診断未確定時）
• 狭隅角緑内障
• 重篤な高血圧（収縮期血圧200mmHg以上）

🔴 重要な注意

アナフィラキシーショックなど生命に危険が及ぶ場合は、上記禁忌があっても投与を考慮する（添付文書記載）

👶 特別な患者群

• 妊婦：胎児への影響あり、妊娠第2期で分娩遅延リスク
• 授乳婦：乳汁移行の可能性
• 高齢者：心血管系副作用に注意
• 小児：低出生体重児、新生児は安全性未確立

⚠️ 重要な基本的注意

🫀 心血管系モニタリング

• 投与前後での血圧・心拍数・心電図監視必須
• 冠動脈疾患患者では心筋虚血の可能性に注意
• 不整脈発現時は直ちに投与中止・対症療法

💊 薬物相互作用への注意

• β遮断薬併用患者：α作用相対的増強→重篤な高血圧
• 三環系抗うつ薬：不整脈リスク増加
• MAO阻害薬：昇圧作用増強
• ハロタン麻酔下：心室性不整脈リスク

🎯 投与技術上の注意

• 筋肉内注射の確実性：皮下投与では効果不十分
• 血管内誤投与の回避：吸引確認必須
• 神経損傷の回避：大腿外側部の正確な部位選択

🏥 投与後の観察

• 投与後最低4時間の観察が必要
• 二相性反応（遅発性反応）への警戒
• ステロイド・抗ヒスタミン薬の併用継続

💔 主要副作用（頻度別）

🚨 重篤な副作用

⚡ 心血管系

• 重篤な不整脈：心室頻拍、心室細動
• 急性心筋梗塞：冠動脈疾患既往者
• 急性心不全：過度の後負荷増加
• 大動脈解離：急激な血圧上昇

🧠 中枢神経系

• 脳出血：急激な血圧上昇による
• 脳梗塞：血管攣縮による

📊 副作用の時間経過

• 即時型（投与直後-5分）：循環器症状
• 早期型（5-30分）：中枢神経症状
• 遅発型（30分以降）：代謝への影響