薬剤師の時短勤務完全ガイド|2025年新制度・給付金・働き方を徹底解説
2025年4月創設の育児時短就業給付金から、育児・介護休業法改正による柔軟な働き方まで、薬剤師の時短勤務を徹底解説。正社員・パート・派遣別の収入目安や求人の探し方も紹介します。

薬剤師も時短勤務で働ける?制度の基本を理解しよう
正社員の法定労働時間は原則1日8時間・週40時間ですが、時短勤務を利用すると所定労働時間を原則1日6時間に短縮できます。
この制度は「育児・介護休業法」に基づいて定められており、条件を満たす労働者から申し出があった場合、事業主は時短勤務を認める義務があります。
時短勤務制度の対象者
時短勤務制度を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。
- 3歳未満の子を養育する労働者
- 1日の所定労働時間が6時間を超える労働者
- 日々雇用ではない労働者
ただし、以下に該当する場合は労使協定により対象外となることがあります。
- 雇用期間が1年未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 業務の性質上、時短勤務を講ずることが困難な業務に従事する労働者
「時短勤務制度」と「短時間正社員制度」の違い
混同されやすいのが「時短勤務制度」と「短時間正社員制度」です。
時短勤務制度は育児・介護休業法に基づく法定制度であり、3歳未満の子を養育する労働者などが対象です。一方、短時間正社員制度は企業が独自に導入する仕組みで、育児や介護に限らず、自己啓発や地域活動など様々な理由で利用できる点が特徴です。
大手薬局チェーンや総合病院では、この短時間正社員制度を導入しているところも増えており、ライフステージに合わせた柔軟なキャリア設計が可能になっています。
【2025年4月創設】育児時短就業給付金とは?
2025年4月から、時短勤務中の収入減少を補う「育児時短就業給付金」がスタートしました。この新制度により、経済的な不安を軽減しながら時短勤務を選択しやすくなっています。
育児時短就業給付金の概要
育児時短就業給付金は、2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている雇用保険加入者に対し、時短勤務中に支払われた賃金額の約10%相当額が支給される制度です。
支給要件
給付金を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。
【基本要件】
- 2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている雇用保険の被保険者であること
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き時短勤務を開始したこと、または時短勤務開始日前2年間に被保険者期間が12か月以上あること
【支給対象月の条件】
- 月の初日から末日まで継続して雇用保険の被保険者であること
- 1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間があること
- 育児休業給付または介護休業給付を受給していないこと
- 高年齢雇用継続給付の受給対象となっていないこと
支給額の計算方法
支給額は、時短勤務中の賃金と時短開始前の賃金を比較して算出されます。
【計算例】
- 時短開始前の賃金月額:30万円
- 時短勤務中の賃金:22.5万円(6時間勤務の場合、8分の6)
この場合、支給対象月の賃金が時短開始前の賃金の90%以下のため、時短中の賃金の10%が支給されます。
支給額:22.5万円 × 10% = 22,500円
ただし、時短後の賃金と給付金の合計額が時短前の賃金水準を超えないよう調整されます。また、支給限度額(2025年8月以降は471,393円)や最低限度額(同2,411円)が設定されています。
経過措置:すでに時短勤務中の方も対象
2025年4月1日より前から時短勤務をしていた方も、要件を満たせば2025年4月1日を起点として給付対象となります。育休からの復帰後すでに時短勤務中の方も、ぜひ確認してみてください。
【2025年改正】育児・介護休業法の変更点
2025年は育児・介護休業法の大きな改正年です。4月と10月に段階的に施行される改正内容を押さえておきましょう。
2025年4月施行の主な改正点
子の看護等休暇の拡充
- 対象となる子の年齢が「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に拡大
- 取得事由に感染症による学級閉鎖、入園式・卒園式などが追加
- 名称が「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変更
所定外労働(残業)免除の対象拡大
- 従来は「3歳未満の子を養育する労働者」が対象
- 「小学校就学前の子を養育する労働者」まで拡大
時短勤務の代替措置にテレワークを追加
- 業務の性質上、時短勤務が困難な場合の代替措置としてテレワークが選択可能に
2025年10月施行の主な改正点
3歳以上~小学校就学前の子を養育する労働者への「柔軟な働き方」措置
事業主は以下の5つの選択肢から2つ以上を選択して講じる義務があります。労働者はその中から1つを選んで利用できます。
- 始業時刻等の変更(フレックスタイム制・時差出勤)
- テレワーク(月10日以上利用可能なもの)
- 保育施設の設置運営等(ベビーシッター手配・費用負担など)
- 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
- 短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とするもの)
この改正により、子どもが3歳以上になっても、フルタイム勤務を維持しながら柔軟な働き方ができる選択肢が広がります。
薬剤師の時短勤務|雇用形態別の特徴と収入の目安
薬剤師が時短で働く方法は、正社員・パート・派遣の3つがあります。それぞれの特徴と収入の目安を詳しく見ていきましょう。
正社員の時短勤務
【特徴】
- 社会保険や賞与などの待遇を維持しながら労働時間を短縮できる
- 雇用の安定性が高く、子育て後のフルタイム復帰もスムーズ
- 昇進・昇給の機会は制限される可能性がある
【収入の目安】
フルタイム(8時間)から時短(6時間)に変更した場合、基本給は単純計算で8分の6(75%)になります。
例:フルタイム時の月給30万円 → 時短勤務時は約22.5万円
ただし、残業がなくなる分、実際の手取りはさらに減少する可能性があります。2025年4月からは育児時短就業給付金(約10%)が加わるため、収入減の負担が軽減されます。
パート薬剤師
【特徴】
- 勤務日数・時間を柔軟に調整できる(1日4~6時間、週3日など)
- 正社員に比べて福利厚生は限定的
- シフト制の職場が多く、家庭の事情に合わせやすい
【収入の目安】
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の短時間労働者の平均時給は2,639円です。
例:時給2,500円 × 6時間 × 月16日 = 月収24万円程度
調剤薬局やドラッグストアでは時給2,000円~3,000円が相場で、地域や企業規模によって差があります。
派遣薬剤師
【特徴】
- パートより高時給(時給3,000円以上も)
- 契約時に勤務時間・日数を明確に設定できる
- 契約期間が定められているため、長期的な安定性は低い
【収入の目安】
派遣薬剤師の時給相場は2,800円~4,000円程度です。
例:時給3,000円 × 6時間 × 月16日 = 月収28.8万円程度
「時短でも収入を維持したい」という方には、派遣という選択肢が有効です。ただし、派遣先によっては勤務時間の融通が利きにくい場合もあるため、契約時に希望条件を明確に伝えることが重要です。
薬剤師が時短勤務で働くメリット・デメリット
メリット
1. 育児・介護と仕事を両立しやすい
保育園の送迎や子どもの急な体調不良への対応など、家庭の事情に合わせた働き方ができます。育児時短就業給付金の創設により、経済的なデメリットも軽減されました。
2. キャリアを中断せずに継続できる
一度離職すると、復帰時にブランクがマイナスになることがあります。時短勤務で働き続けることで、薬剤師としての知識・スキルを維持しながらキャリアを積み重ねられます。
3. プライベートの時間を確保できる
自己啓発や資格取得の勉強、趣味の時間など、仕事以外の充実にもつながります。心身のリフレッシュができることで、仕事へのモチベーション維持にも効果的です。
デメリット・注意点
1. 収入が減少する
勤務時間に比例して基本給が下がり、残業代もなくなるため、手取りは25~30%程度減少する可能性があります。
2. 同僚との関係性に配慮が必要
時短勤務者が退勤した後の業務をカバーする同僚への負担が生じることがあります。日頃からのコミュニケーションや感謝の気持ちを伝えることが大切です。
3. 昇進・キャリアアップに影響する場合がある
管理薬剤師やエリアマネージャーへの昇進には、フルタイム勤務が求められるケースが多いです。長期的なキャリアプランを考慮した上で、時短勤務の期間を検討しましょう。
薬剤師業界特有の時短勤務の課題と対策
薬剤師業界には、時短勤務を取りにくい構造的な課題もあります。事前に理解しておきましょう。
課題1:少人数体制の薬局では受け入れが難しい
多くの調剤薬局は薬剤師2~3名体制で運営されています。閉局前に時短勤務者が退勤すると、残る薬剤師1人で対応しなければならず、負担が大きくなります。
【対策】
- 複数の薬剤師が在籍する店舗を選ぶ
- チェーン展開している大手薬局を検討する
- 門前薬局など、午前中の処方が多い職場を選ぶ
課題2:病院薬剤師は求人自体が少ない
病院は一般的に17時~18時が退勤時間で、時短勤務にも対応しやすい環境です。しかし、調剤薬局に比べて病院の求人数自体が少ないため、選択肢が限られます。
【対策】
- パート採用で夜勤免除の条件を交渉する
- 大学病院や地域の基幹病院など、薬剤部の人員が多い施設を探す
- 転職エージェントに非公開求人を紹介してもらう
課題3:中小薬局では制度への理解が浅いことも
大手企業では時短勤務制度が整備されていますが、個人経営の薬局では制度への理解が十分でない場合があります。
【対策】
- 面接時に時短勤務の実績があるか確認する
- 過去に育休・時短を取得した薬剤師がいるかを尋ねる
- 就業規則で時短勤務に関する規定を確認する
時短勤務可の薬剤師求人を探す方法
方法1:現在の職場で交渉する
まずは今の職場で時短勤務が可能かを確認しましょう。制度が整っていなくても、勤務時間の調整や短時間正社員制度の導入を検討してもらえることがあります。
【交渉のポイント】
- 時短勤務にしたい具体的な理由を伝える
- これまでの実績や貢献をアピールする
- 時短でもできる業務範囲を提案する
方法2:求人サイト・薬剤師会のホームページで探す
求人サイトでは「時短勤務可」「短時間正社員」などの条件で絞り込み検索ができます。薬剤師会や企業の採用ページでも時短求人が掲載されていることがあります。
ただし、時短正社員の求人はまだ多くないのが現状です。パートや派遣であれば、比較的見つけやすいでしょう。
方法3:転職エージェントを活用する
薬剤師専門の転職エージェントを利用すれば、非公開求人を含めて時短勤務可能な職場を効率的に探せます。
【転職エージェント活用のメリット】
- 希望条件に合った求人を紹介してもらえる
- 勤務時間や雇用形態の条件交渉をサポートしてもらえる
- 面接日程の調整や提出書類のアドバイスを受けられる
- 職場の雰囲気や時短勤務の実態について情報を得られる
時短勤務の求人は人気が高く倍率も高くなりがちです。専門家のサポートを受けることで、転職成功の可能性が高まります。
まとめ
薬剤師の時短勤務は、育児や介護だけでなく、自分らしいライフスタイルを実現する働き方として注目されています。
2025年4月に創設された育児時短就業給付金により、時短勤務中の収入減少を一部カバーできるようになりました。さらに育児・介護休業法の改正で、子どもの年齢に応じた柔軟な働き方の選択肢も広がっています。
正社員・パート・派遣それぞれに特徴があり、自分の状況や希望に合った働き方を選ぶことが大切です。
まずは希望条件を明確にし、現在の職場での交渉や転職エージェントの活用を通じて、理想の働き方を実現していきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 時短勤務中でも管理薬剤師になれますか?
管理薬剤師は店舗の管理業務を担うため、フルタイム勤務が求められるケースが多いです。ただし、企業によっては時短の管理薬剤師を認めている場合もあるため、個別に確認してみましょう。
Q2. 育児時短就業給付金の申請は自分でするのですか?
原則として事業主(会社)を経由して申請しますが、本人が希望すれば自分で申請することも可能です。会社の人事担当者に確認してみてください。
Q3. パートでも育児時短就業給付金は受け取れますか?
雇用保険に加入していて支給要件を満たしていれば、パートでも受給対象になる可能性があります。週20時間以上勤務し、雇用保険に加入しているかどうかがポイントです。
Q4. 時短勤務から派遣に切り替えるメリットはありますか?
派遣薬剤師は時給が高いため、時短でも収入を維持しやすいというメリットがあります。また、契約時に勤務条件を明確にできるため、自分のペースで働きやすいでしょう。
Q5. 子どもが3歳を超えたら時短勤務はできなくなりますか?
法定の時短勤務制度は3歳未満が対象ですが、企業独自の短時間正社員制度があれば継続できる場合があります。また、2025年10月からは3歳以上~小学校就学前の子を養育する労働者に対し、柔軟な働き方の措置が義務化されます。